2006 Fiscal Year Annual Research Report
高分子鎖を閉じ込めたマイクロエマルションのネマチック-ゲル相転移
Project/Area Number |
18740260
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
中谷 香織 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (50323861)
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Keywords | ソフトマター / 自己組織化 / 階層構造 / 構造転移 |
Research Abstract |
本申請研究では、球状マイクロエマルションに高分子を閉じ込める複合系において、閉じ込めた高分子の会合状態を制御することで発現する液晶-ゲル転移の詳細を明らかにすることを目的としている。 平成18年度では、球状マイクロエマルションに会合性高分子を閉じ込め、その会合温度前後で観測される構造変化を追跡した。具体的に研究対象となる系は、イオン性界面活性剤;Aeroso1-OT、水、イソオクタンを用い、会合性高分子としてはゼラチンを採用した。 1-1)会合温度前後の膜構造変化における詳細構造は、小角中性子散乱法を用いて追跡した。得られた散乱曲線を会合温度前では回転楕円体で、また会合温度後の構造については共連続構造であるTeubner-Streyモデルを用いて解析したところ、いずれも良く合う事がわかつた。これより、膜内に閉じ込めたゼラチンの会合の有無により、膜構造は棒状から共連続状に転移する事が明らかとなった。 1-2)系全体のゾルからゲルへの転移過程を粘弾性測定で追跡し、系のゲル化点を観測した。線形領域に於ける貯蔵弾性率(G')および損失弾産率(G'')の関係は、会合前のゾル状態ではG''>G'、系が完全にゲルとなった状態ではG''<G'となることが判明し、G'=G''の温度をゲル化温度;Tgと決めた。バルクにおけるゼラチンのTgは約30℃であったが、ゼラチンを膜内に閉じ込めた系全体のTgは約26.5℃であり、ゲル化点が低温側にシフトする事がわかった。このTgの変化に関しては、平成19年度に詳細に検討する予定である。
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Research Products
(2 results)