2006 Fiscal Year Annual Research Report
力学的負荷でアクチンフィラメントは機能変調を受けるか-顕微操作による実験的研究-
Project/Area Number |
18740263
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下澤 東吾 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (00386608)
|
Keywords | 蛍光イメージング / 細胞骨格 / アクチンフィラメント |
Research Abstract |
Actin filamentに加わる張力に依存した機能変調や構造変化の有無を調べるため、光ピンセットによる顕微操作法と蛍光イメージングを組み合わせた装置を作製した。この装置は、単一のactin filamentを顕微操作し定量的に張力をかけ、かつ張力の値をリアルタイムに表示して調整可能であるという特徴をもつ。単一のactin filamentについて張力の導入を試みたところ、今回の実験系においてはfilamentの切断という制約が上限の張力を決定しており、その値は約20pN程度であった。この装置を用いて、張力と蛍光標識actin filamentの蛍光強度との相関を測定した。張力が0〜5pNの領域では熱運動によってfilamentの蛍光像が大きく変動し解析不能となるため5〜20pNの張力を繰り返し与え、その間の蛍光強度を測定した。結果、actin分子の特定残基(Cys-374)に周囲微環境によって蛍光特性を変化させる蛍光色素を共有結合ラベルした場合には、張力に対して蛍光強度に8%程度の変動が現れることを示唆するデータが得られた。周囲微環境に対する蛍光特性変化とは、actin分子単量体がactin filamentに重合するときの蛍光強度変化を目安としたが、この蛍光色素は重合に伴い蛍光強度を1.6倍まで増大する。同じ蛍光色素分子をPhalloidin(Actin filamentに特異的に結合する)に修飾した非共有結合性の標識法では、蛍光強度は張力に対して顕著な相関を示さなかった。また、微環境変化による蛍光特性変化が少ない蛍光色素(重合に伴う蛍光強度の増大が1.06倍)をCys-374に標識したactin filamentも張力に対して顕著な相関を示さなかった。これら結果から、張力によってactin filamentが構造歪を発生している可能性が示唆された。
|