2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体由来ナノ粒子間の短距離・長距離相互作用と温度及び溶媒効果
Project/Area Number |
18740264
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 高彰 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (20373029)
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Keywords | 化学物理 / ソフトマター物理 / 生体関連高分子 / ナノ計測 / 蛋白質の構造・機能 / 医療応用(酸素輸液) / 小角散乱法・動的光散乱 / 誘電分光法 |
Research Abstract |
[1]医療応用可能な酸素輸液として機能するヘモグロビンベシクル(HbV)の分散安定度に寄与する粒子表面PEG鎖の効果を調べるため、PEG結合脂質DSPE-PEG2000,5000,12000のミセル水溶液について小角散乱法と誘電分光測法を用い、溶媒を含めた分子ダイナミクスと分子集合体の静的構造に関する検討を行った。バルク水緩和強度の定量評価よりPEG鎖モノマー当たりの水和数は約5、散乱曲線のGIFT分析から疎水コアの直径が2.5nmの球状ミセルが判明した。ミセル間相互作用ポテンシャルには、水和PEG鎖の立体障害効果のみならず、リン酸残基の静電反発相互作用が寄与し、両者がHbV分散安定度に寄与することが示唆された。 [2]ヒト血清アルブミン(HSA)に対するリガンド結合が溶液中における蛋白質間相互作用ポテンシャルに及ぼす影響は重要な未解明問題である。完全合成酸素運搬体として開発されてきたアルブミン-ヘム(rHSA-heme)系に関し上記問題を検討した。小角散乱法による構造因子の分析から、ヘム包摂によって、HSA間の近距離粘着相互作用は変調されること無く、特徴的な長距離親和相互作用が生じることを明らかにした。リガンド結合によるHSA間相互作用の変化を明確に捉えた初めての結果である。 [3]Glatterグループ(Graz大)と共同研究により、超薄層セル法やエコー法など動的光散乱法の新技術を用いて、代用血漿剤存在下におけるHbVの協同拡散過程の観測に成功した。医療応用、生体コロイドの基礎物性双方にとって重要な知見が得られている。 [4]横国大・荒牧グループと共同研究として行った逆ミセルの研究では、棒状、板状の逆ミセル形成という新規現象が見出され、界面活性剤親水部の輸送自由エネルギー差が、逆ミセル形状の決定に重要な要素であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)