2007 Fiscal Year Annual Research Report
ABICに基づく地震地殻変動データの非線形インバージョン解析
Project/Area Number |
18740269
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
深畑 幸俊 Kyoto University, 防災研究所, 准教授 (10313206)
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Keywords | インバージョン / 地殻変動 / 地震滑り分布 / InSAR / ABIC / 共分散 / 非線形 |
Research Abstract |
まず、平成18年度に行った、最も簡単な場合の非線形インバージョン解析手法を1995年トルコDinar地震のInSAR(干渉合成開口レーダー)データに適用した結果について論文としてまとめ、Geophysical Journal International誌に投稿した。同論文は平成19年12月に受理され翌年5月の同雑誌に掲載された。なお、論文掲載が平成20年度となったため、科研費を一部繰り越して論文別刷りの購入費用とした。 次に、同じように非線形の数学的構造を持つ問題として、断層面の最適サイズが同様の定式化から求められるか調べてみた。その結果、断層面のサイズを地震滑りの起こった領域よりも大きくとれば、得られる滑り分布はほとんど全く断層面のサイズに依存しないという結果が得られた。つまり、実際のインバージョン解析においては、断層面の大きさを適当に大きく取れば良いことがこの結果より保証される。本研究については平成19年10月の地震学会秋季大会で発表した。 1995年トルコDinar地震のInSARデータの解析から、ABIC(赤池のベイズ情報量規準)を用いたインバージョン解析では、データの持つ情報により注意深くなる必要があること、つまり高サンプリングのデータに対してはデータの共分散成分を考慮することが本質的に重要であることが分かった。そこで、その知見を波形インバージョンによる震源過程を求める問題に応用し、5Hz以上のサンプリング間隔に対しては、従来なされていたようにデータの共分散成分を無視すると非常に不安定な解が得られる一方、共分散成分を考慮することでその不安定問題が解決できることを示した。この研究は海外を含む一連の学会で発表すると共に、論文としてまとめGeophysical Journal International誌に投稿中である。(同研究についても、平成20年度に受理・掲載された)
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