2007 Fiscal Year Annual Research Report
断層滑りの特徴とそのパラメータ依存性:アナログ実験からのアプローチ
Project/Area Number |
18740272
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
隅田 育郎 Kanazawa University, 自然科学研究科, 准教授 (90334747)
|
Keywords | 粉体 / スティックスリップ / クリープ / 粒径 / せん断速度 / 断層 / 間隙流体 |
Research Abstract |
断層ガウジ物質の物性(粒径、間隙流体の粘性)が断層のスティックスリップ運動に及ぼす影響を調べるために、ガラスビーズを回転型粘性率計でせん断し、その応力の時系列データ解析を行なった。その結果スティックスリップの応力降下量が粒径(9種)にほぼ比例すること、スリップの前に起きるクリープの程度が減少することが分かった。前者の結果は、せん断する際にせん断面で掘り起こさないといけない部分の厚さが粒径に比例するため、と解釈される。また後者については、クリープの程度を特徴付けるために導入した新しい無次元量で良く整理されることが分かった。実験中には、同時にせん断されるガラスビーズを上面から撮影することにより、せん断される厚さを求めた。その結果、せん断層の厚さは粒径と供に増大するが、その層厚を構成する粒の数は減少することが分かった。以上のことは粒径が大きくなるにつれてせん断層中のフォースチェーンが硬くふるまっていることを示している。さらに間隙に粘性の異なる(7種)シリコンオイルが入れた実験を行った。その結果、粘性率が大きくなるにつれてガラスビーズ同士の間の摩擦が減少するため、スティックスリップの応力降下量は単調に減少した。一方でせん断に必要な応力は最小とする特徴的な粘性率があることが分かった。これは低粘性率では潤滑効果が効き、高粘性率では粘性抵抗の効果が効いているためと理解され、ベアリングの摩擦の研究から得られている知見と整合的な結果である。以上に加えて、滑り速度のスケーリングについても調べ、粒径が小さい程また粘性率が高い程、滑り速度が最大応力値に関わらず一定になることが分かった。以上の結果は、断層滑りにおいてガウジ物質の粒径、間隙流体の粘性率が滑り方を司る重要なパラメータであることを示している。これらの結果は、2007年アメリカ地球物理学連合秋季学会で発表し、現在投稿論文として執筆中である。
|