2008 Fiscal Year Annual Research Report
断層滑りの特徴とそのパラメータ依存性:アナログ実験からのアプローチ
Project/Area Number |
18740272
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
隅田 育郎 Kanazawa University, 自然システム学系, 准教授 (90334747)
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Keywords | 粉粒体 / 固着滑り / レオロジー / せん断 / 粒径 / 間隙流体 / スケーリング則 / 断層 |
Research Abstract |
本年度は、せん断変形下における粉粒体のレオロジーの実験的研究を英文論文(Higashi & Sumita, 2009, in press)としてまとめた。論文では粒径を9通り(幅1桁)、せん断速度を5通り(幅1桁)、間隙流体粘性率を8通り(6桁)変えて実験を行った結果を整理した。重要な結果として以下が挙げられる。(1) 固着滑りが起きる際の最大応力値、応力降下量は粒径にほぼ比例する。(2) 粒径が大きくなるにつれて、応力が増大する際のクリープが顕著になり、応力が低下する際の滑り方が速度一定に遷移する。また滑りが起きる時間間隔が短くなる。(3) 間隙流体の粘性率が増加すると、粒径が減少するのと同様にクリープの程度が増大し、滑り速度一定に遷移する。一方で、滑りの起きる時間間隔は長くなる。即ち、この性質を用いることにより、固着滑りの特性の変化が粒径によるものか、間隙流体の粘性率によるものかを制約することが可能であることを示唆している。(4) そしてパラメータによるこれらの性質の変化を新たに定義した無次元数によって特徴化できることを示した。(5) せん断中の粉粒体の画像解析を行なうことにより、せん断帯の幅を求めたところ、幅は粒径、せん断速度に伴って増大した。一方で、幅を粒径でスケールすると、粒径に対して減少することが分かった。本実験はこれまで行なわれてきた粉粒体レオロジーの実験としては、最も幅広いパラメータ領域を網羅している類である。実験条件は、これまで行なわれてきた摩擦実験の圧力より5桁も小さいが多くの性質が似ており、これらは粉粒体レオロジーの一般的な性質であることを示唆している。
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