2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740273
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
城野 信一 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 助手 (20332702)
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Keywords | 有機物 / 衝突 / 微惑星 / 粉体 / 付着 / 原始惑星系星雲 |
Research Abstract |
微惑星の形成過程を明らかにするために、以下の研究を行った。 微惑星はミクロンサイズの微粒子が付着成長を繰り返して形成されたという説がある。付着成長をある程度繰り返すと、微粒子集合体が形成される。この集合体の相互衝突が合体成長になるのか、それとも破壊が進行してしまうのかが現時点では明らかではない。数値シミュレーションによると、原始惑星系円盤内で起こりうる衝突速度では破壊が進行してしまうことが示されている。 そこで本研究では微粒子に多量に含まれていたと考えられている有機物に着目した。原始惑星系円盤内の温度において有機物は流動性を示すことが過去の実験から示されている。模擬有機物として粘性係数が既知であるシリコンオイルを用い、それにガラスビーズを混合することで模擬微粒子集合体を作成した。その混合物の相互衝突実験を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。1)シリコンオイル:ガラスビーズ体積比がある一定の値よりも大きくなると急激に付着成長が起こる2)その値は、球細密充填構造という幾何学的要因で決まっている。 さらに、この混合物へ秒速90メートル毎秒でナイロンの弾丸を撃ち込む実験を行った。実験の結果放出されるイジェクタの質量を計測した。この実験の結果、以下のことが明らかとなった。1)シリコンオイルは劇的にイジェクタ量を低下させる2)シリコンオイルの粘性係数がある値以上であると、イジェクタ質量が弾丸質量よりも小さくなる。 微粒子集合体の温度がある程度上昇すると構成物質の流動性が大きくなるため、集合体は自発的に収縮する。この現象の応用として、コンドリュール形成の衝撃波モデルにこの結果を応用した。その結果、衝撃波通過以前の温度によっては、衝撃波通過にともなってコンドリュール前駆体は破壊されてしまうという結論が得られた。この結果はAstronomy and Astrophysics誌に出版された。
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