Research Abstract |
地球型惑星は,火星サイズ程度に成長した原始惑星が衝突することによって,最終的な大きさの惑星へと進化する.過去の研究では,この大衝突のために,形成される地球型惑星軌道が円軌道から大きくゆがみ,太陽系の形状と異なってしまうことが知られていた.昨年度までの研究で,木星型惑星,原始惑星系円盤の重力および,円盤の重力抵抗と散逸の効果を考慮することで,太陽系類似の地球型惑星系を形成できることが示された.そこで,円盤の散逸時間,重力抵抗の強さを変化させながら,原始惑星衝突合体の進化過程を調べ,太陽系以外の条件で,どのような地球型惑星が形成されるかを調べた.数値計算の結果,円盤散逸が速い場合,あるいは,重力抵抗が強く効く系では,木星の効果が十分に働かずに,円軌道からずれた惑星系が形成されることがわかった. 太陽系外では,太陽系とかなり異なった木星型惑星が発見されている.太陽系外での地球型惑星形成を調べるためには,それらの木星型惑星の配置の起源を知る必要がある.そこで,短周期の木星型惑星形成の起源を調べるために,惑星散乱過程に中心星からの潮汐力を含めた数値計算を行った.その結果,惑星散乱が起きた場合の3割程度で,観測されるような短周期木星型惑星が形成されることがわかった.これは,惑星系が不安定にある間に,古在機構と呼ばれる,離心率と軌道傾斜角の交換現象が生じるためである.このために,惑星散乱を通じて短周期の軌道に移動する惑星は,軌道の傾きが幅広く分布する特徴を持っていることが判明した.
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