2008 Fiscal Year Annual Research Report
大気海洋結合モデルと領域気候モデルとの双方向ネスティングの実現
Project/Area Number |
18740293
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲津 將 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (80422450)
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Keywords | 大気海洋結合モデル / 領域モデル / ネスティング / 気候変動 / 地球温暖化 |
Research Abstract |
本研究は、全球大気海洋を計算する大気海洋結合モデルと一部の領域の大気を計算する領域気候モデルを結合し、双方向に情報を交換しながら計算できるシステムを構築することが目的である。その結果、小規模の気象現象が気候に及ぼす影響を比較的小さい計算コストで研究することができるようになると期待される。本年度は、昨年度にプログラムとして完成した双方向ネスティングシステムをつかって、東アジアの小規模山脈や、東アジアで発達しやすい小規模低気圧の効果を調べた。その結果、東アジアの小規模山脈の存在が平均流の変調を介して全球的な平均場に影響を及ぼすのに対し、東アジアの小規模渦はネスト領域の総観規模活動に変化をあたえるのみであることがわかった。また、双方向ネスティングによって大循環モデルのバイアスが取れるかどうかについても議論したが、それはいまのところ成功を収めたとは言い難い結果となった。これはエネルギーや水蒸気といった保存されるべき量について保存することを保証しないような設計としていたことが一つの理由として考えられる。また、今年度はこれらの研究成果を論文としてまとめた。論文は米国気象学会誌Monthly Weather Reviewにまもなく受理される見込みである(平成21年3月現在)。また、上述のとおり、本研究で開発した双方向ネスティングモデルではエネルギー保存などの基本的な保存則を無視した設計としていたことが欠点であることがわかり、今後のさらなる開発の際に保存則を満たすような設計にするべきであるという指針が得られた。
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