2006 Fiscal Year Annual Research Report
水素ライマンα・β線を同時に除去する酸素イオン共鳴散乱光観測用反射鏡の開発
Project/Area Number |
18740308
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
山崎 敦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 助手 (00374893)
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Keywords | 惑星大気進化 / 酸素イオン共鳴散乱光 / 宇宙プラズマ光学観測 / 極端紫外光撮像 / 多層膜反射鏡 |
Research Abstract |
酸素原子は、地球型惑星超高層大気の主要な構成要素の一成分であり、その分布や存在比は惑星大気進化の指標となる。そして主に太陽紫外光で電離され酸素イオンとなり惑星間空間へ散逸する。したがって、酸素イオンの二次元分布観測は酸素原子の散逸量同定に必要な物理量を与え、惑星科学の発展に重要な観測のひとつといえる。酸素イオン密度分布の空間構造や発生・発達過程は時々刻々と変化するため、現場に観測器を送り込みその場のプラズマを計測する直接観測と共に、酸素イオンの共鳴散乱光(波長:83.4nm)を二次元像として捉えるリモートセンシング観測が非常に効果的な手法である。 酸素イオン光学観測を有効に行うためには、近接波長域で強度の強い水素ライマンα、β線(波長:121.6nm、102.6nm)を同時に除去する光学系を開発する必要がある。今年度はまず水素ライマンα、β線を同時に除去する反射鏡コーティングの材料と厚みについて検討を行った。材質と膜厚のチューニングを繰返し行い、酸素イオン共鳴散乱光、水素ライマンα、β線の反射率比が1:10^<-4>:10^<-3>を達成する反射コーティングを設計することに成功した。設計結果は膜厚制御に高度な精度を要することを示していたため、試作は蒸着メーカーに依頼した。試作品完成後、当該波長域において反射率を測定し波長依存性を取得した。チューニングした反射コーティング設計結果をもとに、酸素イオン共鳴散乱光観測に関する発表を国内研究会にて行い、現在研究会収録を執筆中である。
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