2006 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼堆積物の珪藻殻酸素同位体比に基づく気候復元法の確立
Project/Area Number |
18740320
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森本 真紀 名古屋大学, 環境学研究科, 研究員 (30377999)
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Keywords | 気候復元 / 酸素同位体比 / 湖沼堆積物 / 珪藻 |
Research Abstract |
気候変化に対する生態系応答(種の増減、個体数の増減)とその応答時間を把握するには、過去の実際に起こった気候変化とそれに対する生態系変化の情報が必要である。過去における生態系変化は植物や動物遺骸の解析により多くの情報が蓄積されてきたが、その当時の気候の詳細についての情報は十分であるとは言い難い。よって本研究では、生態系情報を使わず陸域気候変動を推定する有効な方法として、湖沼堆積物の珪藻殻の酸素同位体比に基づく気候復元法を確立することを目的としている。 平成18年度においては、湖沼堆積物からの珪藻殻の分離抽出法と酸素同位体比分析システムの確立に取り組み、さらに湖における現地調査をおこなって、現在における湖の水温・湖水の酸素同位体比と珪藻殻の酸素同位体比の間の関係を調べるための珪藻試料を採集した。珪藻殻の同位体比分析過程は、堆積物試料もしくは現在における水試料からの珪藻殻の分離抽出・殻を構成する二酸化ケイ素に結合する水和物の除去・殻からの酸素抽出・抽出した気体の質量分析であり、これらの分析システムの作成をおこなった。特に、殻からの酸素抽出では、従来法とは異なる試薬を用いて殻と反応させ酸素を抽出する方法に取り組んだが、これは実験の安全性、簡便性における長所を持っている。作成した分析システムの測定精度の向上に現在継続して取り組んでおり、今後、気候復元において実用的な精度が得られることが期待される。現在の珪藻試料の採集については、冬季に結氷している北海道サロマ湖における調査において、氷のコアリングを行い、珪藻と水試料を採集した。湖水試料の酸素同位体比と塩分の分析から、結氷時のサロマ湖の水循環における知見(海水・淡水の流入割合など)が得られた。
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