2006 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体を用いたロームおよび黒ボク土壌中の広域風成塵の影響評価
Project/Area Number |
18740321
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
横尾 頼子 同志社大学, 工学部, 専任講師 (00334045)
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Keywords | Sr-Nd同位体 / ローム層 / 黒ボク土壌 / 広域風成塵 / 非アロフェン黒ボク土 / 元素組成 |
Research Abstract |
本研究の目的である広域風送塵の寄与および起源の特定を試み,古気候変遷の復原に有用な手法を確立するために,日本陸域の第四紀および第三紀の火山噴出物に夾在するローム層および火山性母材の黒ボク土壌のSr-Nd同位体組成・元素組成データの蓄積をすすめた. 日本陸域の火山噴出物に夾在するローム層としては,鳥取県大山倉吉桜の33万年前から現在に至るテフラ層およびそれに夾在するローム層を,また火山性母材の黒ボク土壌の成因や起源について検討するために,日本各地の非アロフェン黒ボク土,八ヶ岳地域の安山岩と黒ボク土壌を分析試料に用いた. 広域風送塵および母材の影響を評価するためには,バルク試料とあわせて粒径別試料についての分析を行うが,粒径別試料については調整作業を行った. 大山火山噴出物の^<87>Sr/^<86>Sr比は低く比較的均一な値を示す.一方,夾在するローム層はいずれも直下のテフラ層より高い^<87>Sr/^<86>Sr比を示す.これらの結果は,母材となる直下のテフラ以外にも外来ダストの付加があったことを示している. 非アロフェン黒ボク土は粘土鉱物含有量が多く,^<87>Sr/^<86>Sr比やAl, Mg, K, Ba, Li濃度と良い相関を示し.アロフェン黒ぼく土よりも高い^<87>Sr/^<86>Sr比および低い^<143>Nd/^<144>Nd比であった.また,過酸化水素水で抽出した土壌有機物成分の^<87>Sr/^<86>Sr比も高い.以上の結果から,非アロフェン黒ぼく土の土壌鉱物および水や植物と交換しやすい有機物成分には外来物質の混入があることが明らかとなった. 新たな指標の検討を進めるために,鉱物組成分析やPb同位体分析手法を確立中である.
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