2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740323
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣野 哲朗 Osaka University, 理学研究科, 准教授 (70371713)
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Keywords | 台湾集集地震 / チェルンプ断層 |
Research Abstract |
1999年台湾集集地震時の破壊伝搬過程において,"なぜ断層面沿いの摩擦係数が低下したのがについて,実際に地震のときに滑った岩石の採取およびその分析を通して,その謎を物質科学的側面から解明することが重要である.そこで,台湾チェルンプ断層掘削プロジェクト(TCDP)が立ち上がり、2004年より開始された.TCDPでは2本の掘削が行われた.本申請研究課題の今年度の研究では,そのうちの2本目(HoleB)の全掘削コア試料(深度950-1350m)における化学分析および熱履歴分析を実施した.その成果の概要を以下に記す. (1)断層試料における炭素量分析 断層帯における黒色ガウジ部,灰白色ガウジ部, breccia部およびその周囲の母岩にて, CHNSによる元素分析とクーロメータによる無機炭素量の測定を行った.その結果,黒色ガウジ部において,全炭素量および無機炭素量とも有意に減少していることが明らかになった.この要因は地震時の摩擦発熱に伴う炭酸塩鉱物の熱分解と考えられる. (2)反応速度論的解析による地震時の剪断応力の決定 温度に対しアレニウスの関係をもつ化学反応は,反応速度論で記述することが可能である.そこで,上述の炭酸塩鉱物の熱分解の反応速度式を地震時の摩擦発熱プロファイルと連立することによって,上の実測値を制約条件として,地震時の剪断応力が1. 37MPaであることが明らかになった.
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Research Products
(12 results)