2006 Fiscal Year Annual Research Report
ホタテガイ殻の酸素同位体比温度計の確立と鮮新世以降の季節変動の高精度復元
Project/Area Number |
18740329
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中島 礼 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (00392639)
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Keywords | 地球化学 / 気候変動 / 環境変動 / 層位・古生物学 |
Research Abstract |
初年度は,現世ホタテガイ殻の酸素同位体比と温度・塩分との関係を明らかにするため,試料となる現世ホタテガイとホタテガイの生息場である海水のサンプルを主に収集し,安定同位体比の測定データの一部を学会などで公表した. 北海道のホタテガイについては北海道立網走水産試験場とサロマ湖養殖漁業協同組合と,陸奥湾のホタテガイについては青森県水産総合研究センター増養殖研究所との研究協力によって,モニタリングされたホタテガイと海水データを7月から翌3月まで毎月収集した.そのほかの現世貝類については,有明海に生息するヌマコダキガイ類や別府湾のツキガイモドキ類を収集した.化石貝類については,現世ホタテガイとの比較を行うため,関東周辺で産出する更新世のトウキョウホタテや関東平野地下から産出する完新世の二枚貝類を主に収集した.収集した貝類試料は,洗浄後,設備備品費で購入した双眼実体顕微鏡とマイクログラインダーを使用して粉末試料を採取し,自動炭酸塩前処理装置付き安定同位体比測定装置を用いて酸素・炭素同位体比を測定した. 初年度に得られた成果として,網走沖とサロマ湖の現世ホタテガイの安定同位体比が得られ,それぞれの生息場の水温や生態との関連がみられた.この成果については,中島ほか(2007:地質ニュース,632号,p.7-12)で報告した.化石トウキョウホタテガイの安定同位体比の測定結果については,更新世中〜後期の氷期・間氷期における水温変動とトウキョウホタテの産卵時期についての知見が得られた.この成果は,中島ほか(2007:日本古生物学会第156回例会)において発表した,現世および化石ツキガイモドキ類にっいての研究成果は,西垣ほか(2007:日本古生物学会第156回例会)において発表した.
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