2006 Fiscal Year Annual Research Report
浅海成炭酸塩堆積物における微小領域分析に基づく環境記録解読法の構築とその応用
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18740331
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
坂井 三郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (90359175)
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Keywords | 地球科学 / 浅海成炭酸塩岩 / 微小領域解析 / 環境変動 / 有孔虫 |
Research Abstract |
本研究の目的は、琉球列島及びグレートバリアリーフに広がるサンゴ礁とその周辺堆積物が、第四紀中期のどのタイミングで、どのような海洋表層環境(特に水温)の変動が原因でサンゴ礁の成立・拡大が促されたのか、高精度マイクロミルシステムを用いた微小領域解析によって検証することにある。本年度は,大きく下記の2つの成果が得られた。 (1)マイクロミルシステムの飛躍的な改良 マイクロミルシステムの制御方法(特許出願中)の改良,および単結晶ダイヤモンドを用いたドリルビットの開発を通して,従来技術では不可能であった有孔虫の各殻単位(数〜数十マイクロメーター)のドリリングを可能にした。これらの新しい技術によって,従来技術から飛躍的にドリリング精度およびドリリングのスポット径を向上した。 (2)浮遊性有孔虫のMg/Caの保存性の検証 琉球列島に分布する第四系浅海性炭酸塩岩の浮遊性有孔虫が陸水性続成作用を被った後も,初期のMg/Caをその殻に保存されているかを検証した。まず,固結した炭酸塩岩から研磨試料を作成して浮遊性有孔虫Globigerinoides ruberのEPMAによるMg.Caのマッピングを実施した。同時に,半〜未固結の炭酸塩試料からG.ruberを固体として取りだしたのち,樹脂に埋め込み殻の断面が見えるまで研磨したものについてもMg.Caのマッピングを実施した。その結果,両者とも浮遊性有孔虫の殻中に存在する有機膜層が観察され,陸水性続成作用を被った場合でも,その初生的な構造が保存されていることが示唆された。さらに,これらの試料についてEPMAによるMg.Caの定量を試みた結果,酸素同位体比ステージ5eのG.ruberのMg/Caは3.32(〓29.16℃),現世のG.rtiberのMg/Caは3.32(〓28.95℃),酸素同位体比ステージ6のG.rtiberのMg/Caは2.64(〓21.80°)という結果が得られた。今後,これらの結果の妥当性を検証した後,古水温計として適用可能であれば,マイクロミルシステムによる殻の酸素同位体比分析と組み合わせることにより,古環境復元のためのツールとして古海洋研究の分野で貢献出来ると思われる。
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Research Products
(4 results)