Research Abstract |
本研究課題は,噴火時には危険となる活火山の火口近傍において,自動的に噴出物を時系列採取すると同時に,噴火現象・噴出物の堆積現象を連続記録することによって,噴出物の特性から火山噴火現象の時間推移のメカニズムを明らかにしようというものである. 本年度は主に,自動火山噴出物採取装置の開発とその活火山近傍(桜島)での動作試験,噴火映像撮影のために国内活火山における火口・噴煙の撮影ポイントの検討調査・カメラの設置試験を行った. 試料採取装置については,設置環境を鑑み,耐水性を重視し,採取時間間隔を任意に設定でき,一度に30試料を自動採取できる装置の製作に入った.当初外注の予定であつたが,東北大学理学部技術部に依頼が可能となり,1機を試作した(2006年8月-2007年2月).2007年2-3月には,本機を桜島南岳火口約2kmに設置し,動作,風雨・降灰に対する耐久性の試験を行った.火山活動が微弱であったため,比較的小規模な噴火に対する試験しかできなかったが,上記の項目はほぼ達成された.課題として,可搬性,長期観測化,緊急対応力が挙げられ,軽量化,省電力化,遠隔操作対応を検討する予定である. 一方,噴火映像については,諏訪之瀬島火山を対象に既存データの検討を行った.また,桜島,阿蘇火山では現地調査を行い,噴火現象を捉えるために良好な撮影場所の検討とカメラ試験を行った. また,既に採取した火山噴出物の解析結果をまとめ,論文を出版・準備した.特に最近の諏訪之瀬島の活動については,結晶度の異なる2タイプのマグマが噴出しており,それらが地下浅部での結晶化進行度(滞留時間等)の違いによるものであることを明らかにし(近日Journal of Volcanology and Geothermal Research誌に投稿予定),今後,時系列試料採取によって検証すべきモデルの提案を行った.
|