2007 Fiscal Year Annual Research Report
赤外スペクトルを用いたナクライト・シャシナイト火星隕石の火星での起源の探索
Project/Area Number |
18740334
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三河内 岳 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (30272462)
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Keywords | 火星隕石 / ナクライト / シャシナイト / 赤外分光 / 水質変成 / 含水鉱物 / 角閃石 / 輝石 |
Research Abstract |
本申請により前年度に導入した顕微赤外分光光度計を用いて、ナクライトおよびシャシナイト火星隕石の水質変成物の分析を行った。しかし、存在する水質変成物(特にイディングサイト)の量が少ないため、顕微分光でも、明瞭な赤外スペクトルを得ることができなかった。特にナクライトのうち、表層に近い場所で結晶化したと考えられるNWA817とMILO3346については重点的に分析を行なったが、他のナクライトと同様やはり明瞭なスペクトルは得られなかった。また、シャシナイトは前年度の光学顕微鏡、走査電子顕微鏡による分析の結果、水質変成物が全く見つからなかったので、今回は、赤外分光計での分析を行わなかった。以上の結果から、ナクライトのバルク試料を用いたスペクトルデータと火星探査機によって得られた火星表面のスペクトルデータ(マーズ・グローバル・サーベイヤーのTESとマーズ・エクスプレスのOMEGA)を比較してみたが、両者が一致するようなスペクトルは見つけることができなかった。また、含水鉱物の代表的鉱物であり、火星隕石からも見つかっている角閃石のうち、地球産のもの数種類を顕微赤外分光光度計を用いて分析した。これらの角閃石は、あらかじめ、電子線マイクロプローブで化学組成を分析し、また放射光を用いたMicro-XANESで、FeとMnの両方の価数比を見積もっていたものであるが、予想される結果に合わせて、3600-3700cm^<-1>付近に水の吸収が存在するものと存在しないものが存在することが分かった。さらに、新しく見つかった火星隕石の詳細な鉱物学的研究を行い、これまでに見つかっている火星隕石の形成過程について考察を行った。
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