2006 Fiscal Year Annual Research Report
フランボイダルパイライトにおける20面体構造の構造意義および形成メカニズムの検討
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18740340
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大藤 弘明 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助手 (80403864)
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Keywords | 20面体構造 / 自己組織化作用 / 結晶方位解析 |
Research Abstract |
本課題では,天然に産する唯一の20面体微粒子集合体である20面体フランポイダルパイライトの構造異議,および形成条件や自己組織化のメカニズムについて,鉱物学的・結晶学的見地より検討することを目的とする.本年度の研究では,世界各地より集めた古生代〜現世の堆積岩(物)中に含まれる多くのフランポイダルパイライトついて,高分解能SEMを用いた詳細な組織観察を行い,フランボイドにおけるマイクロクリスタルの充填構造が,「不規則型」,「面心立方充填型(一部,体心立法充填型の可能性もあり,検討中)」,「20面体充填型」の3タイプに分けられることを,多くの試料(〜500個)において再確認した.また,内部構造とフランボイド直径(D)/マイクロクリスタル直径(d)比率(D/d比)との間に,一定の相関関係(立方充填型や20面体充填型を示すようなフランボイドのD/d比は10よりも高く,それ以下のフランボイドではマイクロクリスタルは不規則充填を示す)があることを新たに見出した.このD/d比は,マイクロクリスタルの核形成速度と結晶成長速度の程度差(つまり溶液の過飽和度)を反映していると考えられ,20面体構造を含めた規則充填構造の組織化に必要な物理化学的条件を探る上でも重要である(これらの成果については論文執筆中で,「Mineralogical Magazine」誌へ近々投稿予定). また,比較的内部構造の保存の良い新潟平野の沖積層中の20面体フランボイドについて,後方散乱電子線回折(EBSD)法を用いた結晶方位解析を試験的に行った.しかし,試料準備(研磨)段階におけるグレインの脱落や移動などがひどく,信頼できるデータが得られなかった.来年度は,減圧カプセル中で樹脂を繰り返し浸透させるなど,試料準備法を見直し,より多数のサンプルから正確な結晶方位データを収集し,20面体構造形成時に各マイクロクリスタルに働く表面エネルギーリダクション(グレインローテーション)の効果の大小を検討したい.
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