2006 Fiscal Year Annual Research Report
チューブの中のプラズマプロセス診断技術と膜堆積技術の創製によるチューブの高機能化
Project/Area Number |
18740354
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
篠原 正典 長崎大学, 工学部, 助手 (80346931)
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Keywords | プラズマ / 赤外分光 / 薄膜堆積 / 炭素薄膜 / プラズマ診断 |
Research Abstract |
我々の生活を安全・安心で快適なものにしていくことが人間の究極の課題である。20世紀では、これを実現する手段として半導体技術に代表される固体物理の知識が大きな力を発揮した。21世紀はバイオ分子の力をいかに使いこなすかが勝負となる。それゆえ、バイオ分子の機能を最大限に引き出すために固体表面にバイオ分子を固定化することが重要であり、様々な方法が提案されてきた。柔軟性のあるバイオ分子を柔軟性のある高分子フィルム上に固定化できれば柔軟性を必要とする箇所に使うことができ、その応用範囲は一段と拡大する。それゆえ、高分子製のチューブの内面にバイオ分子を固定化し、チューブに機能を付与することに注目した。本研究課題の全体構想は、高分子製チューブの内面に炭素系薄膜を堆積させるプロセス、およびこの炭素系薄膜を土台にしてバイオ分子で修飾するプロセスを創製し、それらの基礎科学的方法論を明らかにすることである。 本研究では、まず炭素系薄膜が形成する過程を科学的に明らかにした上で、その応用を確立することを目指した。そこで、基板温度と堆積された膜の化学結合状態および基板温度による薄膜堆積過程の違いについて赤外分光法を用いて調べた。その結果、膜中のCH3種が基板温度の上昇により減少することがわかった。その原因は、堆積過程においてCH3種を分解しながら堆積が進むことによるということも明らかにした。さらには、水素ラジカル・イオンが膜成長に及ぼす影響について調べた。これまで、水素が膜成長に重要な役割を果すといわれてきたが詳細はわからなかったところ、水素ラジカルでは炭素膜を水素化しながらの化学エッチングが起こり、水素イオンの場合は物理エッチングが起こることが明らかになった。チューブ内を観察する多重表面反射赤外分光法の構築にも成功の糸口を見出しつつあり、本年度の研究により全体構想を実現する礎を築けたと考えられる。
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