2006 Fiscal Year Annual Research Report
拡張磁気流体モデルにおける流れをもつプラズマのトロイダル平衡に関する研究
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18740358
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
伊藤 淳 核融合科学研究所, 理論・シミュレーション研究センター, 助手 (70413987)
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Keywords | プラズマ平衡 / 電磁流体 / 拡張磁気流体 / Hall MHD / 磁場閉じ込め / 核融合 / プラズマ物理 |
Research Abstract |
強い流れをもつプラズマの平衡状態が示す急峻なプロファイルにおいては、理想磁気流体力学(MHD)モデルでは無視されている微視的な効果が重要となる。発現し得る効果は複数あり、それぞれの特徴的なスケール長が異なるこれらの効果を同時に取り込むことによって、実際のプラズマに近い平衡状態を表すことができる。本研究では、複数の微視的効果を含む拡張磁気流体モデルを用いて導出した平衡方程式の解の性質を理論的・数値的手法を用いて明らかにすることを目的としている。拡張磁気流体モデルを用いたマルチスケール性をもつ平衡状態の解析の第一段階として、非等方圧力をもつ一流体およびHall MHDモデルにおける流れをもつ軸対称トロイダル平衡の数学的性質について考察した。圧力方程式には、無衝突プラズマの3次の流体モーメント方程式である熱流東方程式から得られるものを用いた。この圧力方程式は、熱流束を無視して得られるChew-Goldberger-Low(CGL)二重断熱方程式とは異なり、運動論と等しい波の性質を与えることができる。一流体平衡は、Grad-Shafranov(GS)方程式に流れと圧力非等方性の補正が加わった2階偏微分方程式で表される。その偏微分方程式の楕円性条件を満たすポロイダル流速の境界値が、CGLモデルを用いた先行研究の結果とは異なり、運動論による波の分散関係から得られる波の速度に対応していることが明らかになった。Hall MHDの平衡は、磁束関数とイオンの流れ関数のそれぞれに対するGS型の偏微分方程式の連立で表される。その方程式系の楕円性のポロイダル流速に対する十分条件を求め、その境界値が等方圧力の場合から推察される音速に圧力の非等方性が加わった速度よりもわずかに小さい速度であることが明らかになった。
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