2006 Fiscal Year Annual Research Report
ドームふじ深層氷床コア分析によるフィルン内部の対流混合の解明とガス年代の高精度化
Project/Area Number |
18749002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川村 賢二 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90431478)
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Keywords | 氷床コア / 気候変動 / フィルン / 対流混合層 / 氷と空気の年代差 / 重力分離 / 圧密モデル / 希ガス同位体比 |
Research Abstract |
平成18年度は,南極ドームふじ深層氷床コア空気に含まれる窒素およびアルゴン,クリプトンの安定同位体比の精密測定と,それらの比較によるフィルン内の対流混合層の厚さの定量化に向け,以下の研究を遂行した。 1.東北大学における質量分析計の調整と窒素同位体比の分析手法の最適化を行った。質量分析計のイオン源の調整後に基本精度を確認し,内部精度が本研究に十分であることを確認した。外部精度の評価および実際のガス分析のために用いる標準ガス容器を2個製作し,それらに同一組成の空気を充填した。試料ガスボリューム,標準ガスボリュームに別々の容器から導入する際の分別をなくすための技術を確立し,ガス導入を含む繰り返し分析精度(質量分析の外部精度)は0.003‰と見積もられた。これは来年度に行う氷試料分析に十分な精度である。 2.スクリップス海洋学研究所のSeveringhaus教授を訪問し、ドームふじコア分析のための試料輸送方法,空気抽出方法,質量分析計選定等について打合せを行った。アルゴン及びクリプトン測定に使用する質量分析計については,2006年に導入された新型質量分析計を用いることが妥当であるとの結論を得た。これを受け,新型質量分析計の測定精度を確認し、高精度測定のために条件を最適化した。さらに,グリーンランド・ギスプツー氷床コアおよび南極・ボストーク氷床コアを分析した結果,氷試料からの空気抽出を含む総合分析精度は,アルゴン(質量数36と40)とクリプトン(質量数82と86)の同位体比についてそれぞれ,0.008‰および0.016‰と見積もられた。したがって,質量数差1に対応する精度はそれぞれ0.002‰および0.004‰であり,窒素,アルゴン,クリプトン間の微妙な違いを求めるために十分な精度である。空気中のクリプトンの安定同位体の高精度分析について,確立された手法に関する論文を準備中である。
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Research Products
(4 results)