2006 Fiscal Year Annual Research Report
原子レベルの材料特性に基く半導体ナノスピントロニクスデバイスシミュレータの開発
Project/Area Number |
18749006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
相馬 聡文 神戸大学, 工学部, 助手 (20432560)
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Keywords | 物性理論 / 半導体物性 / スピンエレクトロニクス / メゾスコピック系 / 量子閉じ込め |
Research Abstract |
原子レベルの材料特性に基づく半導体ナノスピントロニクスデバイスシミュレータの開発を目的とし,18年度は,大きく分けて次の2つの研究を行った. 1.原子レベルでスピンを考慮した最子輸送計算の前段階として,原子レベルの材料特性に基づくナノスケール電界効果トランジスタのシミュレーションに関する研究を行った.電流方向にはデバイスを構成する原子一個当たり5つの軌道(sp3s^*基底セット)を仮定した強結合近似,電流と垂直な方向には有効質量近似を用い,これと非平衡グリーン関数法を組み合わせる事で,従来の有効質量方程式に基づく計算よりも広いバイアス領域で信頼性の高いシミュレーションを行う事に成功した.この方法にスピン軌道相互作用の効果を経験的パラメータとして加える事で,スピンFETへの拡張する事を次のステップとして想定している. 2.上記の研究と並行して,原子レベルの材料特性を経験的なパラメーターを用いる事無く取り入れる計算方法である強結合密度汎関数法を用いた汎用的なナノ構造の電気伝導計算ツールの開発を行った.特に,ナノ構造と静電的に結合した第3の電極,即ちゲート電極の効果を取り入れ,トランジスタ特性を計算する事に成功した.この強結合密度汎関数法による計算では,交換相互作用によるスピン偏極の効果や,スピン軌道相互作用の効果も第一原理的に取り入れる事が可能である為,今後このツールを用いてナノスピントロニクスデバイスに関する本格的な研究を行う事が出来る.18年度にはこの計算ツールを用いた具体例として,最近未来のナノエレクトロニクス材料として注目されているグラファイトリボン,即ち有限幅の単層グラファイトにおける有限バイアスでの電気伝導及びそれにおけるゲート電圧の効果に関する研究を行った.その結果,電流をゲート電圧によって効率的に制御できる事が示された.このツールを用いたスピンFETのシミュレーションを次のステップとして想定している.
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