2007 Fiscal Year Annual Research Report
四元数離散系列表現を生成する保型形式の解析的及び数論的研究
Project/Area Number |
18749008
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
成田 宏秋 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 博士研究員(COE研究員) (70433315)
|
Keywords | 荒川リフトのフーリエ係数 / 非消滅荒川リフトの存在性 / フーリエ係数とL関数の特殊値との関係 / シンプルなテータ級数 / 代数的フーリエ係数 / ケッヒャー原理 / 一般化ホウィタカー関数 |
Research Abstract |
前年度に,荒川リフト(つまり楕円カスプ形式と定符号四元数環上の保型形式の組からのテータリフトで与えられる,符号(1+,1-)の四元数ユニタリー群Sp(1,1)のカスプ形式)のフーリェ係数の明示公式を得たが,その応用として,非消滅荒川リフトの存在性を証明することができた。これはこれまでに得た荒川リフトに関する結果が,実質的なものであることを厳密に保証するものである。この荒川リフトのフーリェ係数については,その2乗ノルムとL関数の特殊値との明示的関係の研究を今年度の目標に掲げていたが,ある特別な場合で計算結果を得た。しかしこの結果が出たのは極最近であり,その正確さの検証及びもっと一般の場合への拡張については来年度に行う。 一方,名古屋大学の山内淳生氏との共同研究により,符号(2+,2-)のユニタリー群上のあるテータ級数を四元数ユニタリー群Sp(1,1)へ制限することで,Sp(1,1)の四元数離散系列表現を生成する保型形式の新しい具体的構成を与えた。この保型形式はシンプルなテータ級数の形をしており,そのフーリェ係数は代数的であることが分かる。代数的なフーリエ係数を持つ保型形式を与えることは,保型形式の整数論において重要な問題であるが,この構成は四元数離散系列表現を生成する保型形式で代数的フーリェ係数を持つものの最初の例を与えていると言える。 最後にもう一つ目標として掲げている,四元数離散系列表現を生成する保型形式のケッヒャー原理の,四元数ユニタリ一群Sp(1,q)以外の群への一般化であるが,今年度はその最初のステップに必要な一般化ホウィッタカー関数の明示型を,符号(4+,q-)の直交群上のもので極大ユニポテント部分群のユニタリー指標に付随する場合について得た。これに関しては,目標にはまだ到達しておらず来年度も研究を続ける。
|
Research Products
(2 results)