2006 Fiscal Year Annual Research Report
二次元超配列金属ナノゲートによる脂質二分子膜展開挙動制御
Project/Area Number |
18750001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
並河 英紀 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (30372262)
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Keywords | 脂質二分子膜 / 自発展開 / DLVO理論 / 分子分別 / 金属微小構造体 / ナノギャップ / 電子線リソグラフィー |
Research Abstract |
今年度は脂質二分子膜の自発展開特性の制御因子の解明を行なった。特に自発展開時の電解質条件に着目した検討を行い、自発展開駆動エネルギーの支配因子が膜-基板間相互作用であることを明らかにした。電解質としてNaClを用いた場合、自発展開駆動エネルギーのNaCl水溶液濃度に対する依存性が古典的なDLVO理論を用いて定量的に議論可能であることを示した。これまでは自発展開ダイナミクスを積極的に制御した例はなく、本成果の意義は大きい。また、カチオンの効果としてNa^+とCa^<2+>との比較実験を行なった結果、Ca^<2+>の添加により自発展開が促進される傾向が確認された。Ca2+は膜への吸着能が高く膜のゼータ電位をより正側へシフトさせる効果を持っている。これにより、自発展開膜が負に帯電した展開基板とより強い静電的相互作用を形成し、自発展開を促進させたものと考察される。一方、アニオンの効果としてNaClの代わりにNaBrを用いた場合、自発展開は阻害される傾向が確認された。本結果は、Cl^-と比較してBr^-は膜への吸着力が高く、自発展開基板との静電的反発力を高める因子として働き自発展開挙動を抑制したものと考えられる。今年度はさらにナノゲートの構築に向けて電子線リソグラフィーによる基板作成を行なった。電子線リソグラフィーを利用する事で、数十〜数百ナノメートル程度のゲート幅を有する規則的な金属微小構造体規則配列基板を作成することに成功した。また、幅30マイクロメートル、長さ600マイクロメートルの微小流路内にナノゲートを規則的に構築し、この流路内での自発展開現象の発現にも成功した。また、金属微小構造の調整、応用についても検討した。特に、分子数個分程度の極微小ゲートを構築した基板上において、単一分子レベルでの高感度検出能を有する分子検出システムの構築に成功した。
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