Research Abstract |
放射光を用いた小角X線散乱測定において,絶対強度測定を高精度に行うため,吸収係数同時測定装置を開発した。これと,二次元検出器を初めてカップルさせ,溶液や超臨界流体に対し,今までにない高精度かつ高いS/Nで小角散乱プロファイルを得ることに成功した。この研究成果は"Journal of Applied Crystallography"に受理された。さらに,オフセットセッティングを行い,極小角から中角域までの同時測定を達成した。これにより,散乱プロファイルの高次関数フィッティングにより求められる,散乱角ゼロでの散乱強度の外挿による算出が,より高精度となった。 また,partial molar volumeと等温圧縮率の,Gibbsエネルギーの二次微分量を算出する密度測定装置を,X線をプローブとした非接触,かつ,低ノイズ光学系と検出器系を開発し,新たに構築に成功した。これにより,現在,超臨界水溶液の放射光を用いた高精度小角散乱測定とGibbsエネルギーの二次微分量を重ね,密度ゆらぎと濃度ゆらぎの分離を行っている。 熱量測定装置に関しては,チタン製の高温高圧セルの開発が完了した。チタン製高温高圧セルは,内部にベローズを内蔵しており,溶液濃度を変化させずに流体圧力を自在にコントロールすることが可能であるよう設計された。さらに,超臨界水溶液をその場目視観察できるように,サファイヤ窓部を設置してあるため,気液や液液の相変化を確認しながら,確実な実験が行えるよう設計されている。
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