2007 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界水溶液の混合状態・ゆらぎ構造を支配する因子の解明
Project/Area Number |
18750006
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
森田 剛 Aichi University of Education, 教育学部, 講師 (80332633)
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Keywords | 小角X線散乱 / 超臨界水溶液 / ゆらぎ / 炭化水素 / 水 / 高温高圧 / 放射光 |
Research Abstract |
超臨界状態にある炭化水素-水系の小角X線散乱測定を、放射光を用い実現した。小角X線散乱シグナルから分子数密度のゆらぎを表す密度ゆらぎを算出した。さらに、熱力学測定から等温圧縮率を算出し、密度ゆらぎと等温圧縮率から炭化水素-水系の超臨界状態における混合状態に関し知見を得た。本研究では、特にn-ペンタン-水系に関し研究を行った。これによれば、温度-圧力相図上において、11g相転移線(液体-液体-気体)がcritical end pointで途切れた延長上で、特異的に混合状態が変化する興味深い特徴をとらえた。さらに、等温圧縮率からはneatな水の気液共存線上で再び特異点が現れる特徴もつかんだ。 上記測定を実現するために、小角X線散乱測定セルに大幅な改良を加え、炭化水素と水を直接セルへ導入する機構を開発した。これにより、常温常圧では混合しない液体試料を、混合比を高精度に制御した環境で高温高圧セルに直接導入する技術が確立した。 本研究課題による研究成果を総括し、水素結合流体同士の溶液であるメタノール水溶液では、その混合状態は流体密度に大きく依存し、超臨界域でのいわゆる中間密度より低密度であるか高密度であるかに影響されていること、炭化水素-水のような常温で混合エンタルピー変化が正である系は、混合に対する体積膨張などの分子間距離に大きく依存し、11gライン及びcritical end pointが密接に関連していることが分かった。
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