2006 Fiscal Year Annual Research Report
弾性表面波効果を用いた不飽和アルデヒドの水素化反応に対する選択性制御
Project/Area Number |
18750008
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
西山 洋 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (50303186)
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Keywords | 弾性表面波 / 表面 / 水素化 / 不飽和アルデヒド |
Research Abstract |
反応選択性制御が特に重要な反応は、不飽和アルデヒドの水素化反応である(香料および医薬品の中間体製造において非常に重要)。弾性表面波(SAW)による格子変位効果をC=0二重結合を選択的に水素化することが難しい、α、β-不飽和アルデヒドの水素化反応に応用した。不飽和アルデヒドとしてシトラールを用い、SAW伝搬路上に酸化ガリウム薄膜およびPtを膜厚5nmで接合したRayleigh-SAW型触媒およびSH-LSAW型触媒を作製し、自作の2気圧の水素を導入可能なマイクロリアクター型反応装置内に触媒素子を設置し、反応温度393Kでシトラールの水素化反応を6時間行った。反応により生成した生成物はRayleigh-SAW型触媒およびSH-LSAW型触媒を用いた場合においても、触媒表面上での環化反応および主鎖の切断反応によって生成した同定不能な種々の分子種で有り、不飽和アルコールは含まれていないことがGC/MS分析により明らかになった。これは、酸化ガリウム薄膜がSAWによる格子変位効果による格子歪みにより、酸化ガリウムのルイス酸点の酸強度が著しく増加したために、α、β-不飽和アルデヒドの水素化に重要なカルボニル基の触媒表面への吸着のみならず、分子内に含まれている2重結合部位においても触媒表面に吸着が生じ、水素化反応が進行したため、分子鎖の切断が生じ、同定不能な化学種にまで主鎖の切断反応および環化反応が進行したためであると考えられる。以上の結果から、薄膜触媒に伝搬するSAWによる格子変位は、SAW伝搬路上に接合した酸化ガリウム薄膜表面の格子を強制的に変位させ、薄膜表面に露出しているルイス酸点の酸強度を著しく増加させる効果を持つことを明らかにした。
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