2006 Fiscal Year Annual Research Report
光周波数コムを利用した分子スペクトルの超高精度測定の研究
Project/Area Number |
18750019
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
御園 雅俊 福岡大学, 理学部, 助教授 (40314471)
|
Keywords | 光周波数コム / 分子スペクトル / 超高分解能 / 超高精度 |
Research Abstract |
光周波数の精確な目盛である光周波数コムを開発し,超高分解能レーザー分光に応用することを目的として研究を行った。分光の対象としては,ナフタレン,ベンゼン,トランスーグリオキサール等の多原子分子を考えている。これらの分子の電子励起状態では,項間交差や一重項状態間の相互作用など,興味深い現象が観測されている。このような多原子分子の中ではシンプルな分子を研究することで,生体分子や環境汚染物質など,より複雑な分子の中で起こっている基礎的な過程を研究することが可能となる。 超高分解能分光法を用いて測定されたスペクトルを解析するには各信号線の中心周波数や線幅を精確に決める必要があるため,精確な光周波数の目盛の開発が鍵を握る。本研究では,現在最も精確な光周波数の目盛である光周波数コムの開発を行った。 光周波数コムを作るには,超短パルスレーザーを用意する。本研究では,パルス幅20fs,繰り返し周波数100MHzのチタンサファイアレーザーを製作した。このレーザーの出力光をフォトニック結晶ファイバーに入射させ,周波数帯域が1オクターブ以上にわたって広がった光周波数コムを得ることに成功した。またこの光周波数コムの各モードの周波数を安定化することに成功した。 次に,多原子分子の高分解能分光に先立ち,Rb原子D2線の遷移周波数測定を試みた。この測定においては,外部共振器型半導体レーザー(ECLD)の出力を分岐し,一方をRb原子遷移への安定化に使用し,もう一方を光周波数コムとのビート測定に使用した。Rb原子遷移への安定化には,飽和吸収分光法を用いた。この飽和吸収分光で得られた信号をECLDに帰還して安定化した。ECLDと光周波数コムのビートを測定したところ,周波数測定に十分なS/N比30dBが得られた。
|