2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750020
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
長谷川 宗良 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 助教 (20373350)
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Keywords | 強レーザー場 / 非断熱回転励起 / 分子配列 |
Research Abstract |
今年度は、非共鳴高強度短パルスレーザーを用い、気相分子の任意の回転状態の生成およびその励起メカニズムの解明を行った。具体的には、NO分子に高強度レーザー(810nm,150fs,30TW/cm^2)を照射し、その結果生成した回転量子波束の回転状態分布の測定を行った。回転状態分布はエネルギー分解能の高い(ΔE=0.3cm^<-1>)ナノ秒色素レーザーを用いて、二光子共鳴イオン化法を用いて測定した。高強度レーザー照射後の分子の回転状態分布は、通常の熱分布とは大きく異なり、励起メカニズムを反映した分布になることが実験的に初めて明らかとなった。高強度レーザーを2つ用いるダブルパルスの実験によって、この励起メカニズムを解明することに成功した。具体的に、初期状態を回転冷却したJ=0.5として、高強度レーザーを照射すると、選択則ΔJ=0,±1,±2に従って、段階的に高い回転状態に励起する。また、この時にΔJ=1の相互作用はΔJ=2に比べて弱いために、主にΔJ=2の遷移によって回転量子波束が生成することが分かった。また、ダブルパルスの実験では、2つのパルスの時間間隔を制御する事により、回転状態分布の制御や、特定の回転状態を励起する事が可能である事が示された。特にダブルパルスの時間間隔を10.4psにすると、90%以上の割合でJ=2.5の回転固有状態にポピュレーションを移動させる事が出来た。
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