2006 Fiscal Year Annual Research Report
固体表面機能を活用した脂質二重膜の構造・物性・非対称性制御とその評価
Project/Area Number |
18750021
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
手老 龍吾 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (40390679)
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Keywords | 表面・界面物性 / 脂質 / 走査プローブ顕微鏡 / 二酸化チタン / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の目的は固体表面上の二重膜"supported planar bilayer(SPB)"において基板表面とSPB間の相互作用を明らかにすることである。今年度の目標は大きく分けると2つ、SPBの物性測定技術の確立と試料調整方法の確立であった。前者についてはSPBの流動性を評価するための蛍光退色後回復(FRAP)および、粘弾性を測定するための原子間力顕微鏡(AFM)を用いたフォースカーブ測定(FC)の実験系を構築した。後者については、ルチル型TiO_2単結晶低指数表面の調製とSPB形成を再現性良く行う条件を求めた。FRAP測定は光学顕微鏡のしぼりを用いてSPBの一部を退色させ、回復の時間経過を追跡するためのシステムを構築することができた。表面親水性を制御したSiO_2表面上のSPBについて拡散係数(D)を測定したところ、SPBの形成速度は表面親水性によって著しく変化するものの、一度full-coverageのSPBが形成されるとDの値はSiO_2表面の親水性に依らずほとんど同じであった。FC測定については実験系と解析のためのプログラムはほぼ完成したが、探針がSPBに接触・穿孔を繰り返す際に分子吸着によって探針状態が変化し、非常にばらつきの大きい値しか得ることが出来なかった。探針表面の清浄化と表面状態の制御が次年度の課題である。TiO_2(100),(110),(001)表面についてHF水溶液処理と酸素下の焼成によってシングルステップと平坦なテラスからなる表面を調製し、ベシクル展開法によるSPB形成を再現性良く行うことに成功した。TiO_2(100)表面上のSPBは基板のステップ構造に倣った階段状の構造をとっており、二相混合SPBの相分離ではドメインエッジが基板のステップに沿って走っているのが観察された。基板表面の原子レベル構造が脂質膜の組織化に影響を与えることが示された。
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Research Products
(3 results)