2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩本 武明 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70302081)
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Keywords | 反転σ結合 / 高周期14族元素 / σ電子系 / 合成 / 反応 |
Research Abstract |
t-ブチルジメチルシリル基ですべて置換されたビシクロ[1.10]テトラシランを黄色結晶.として合成単離し、その構造をX線結晶構造解析で明らかにした。興味深いことに、このビシクロテトラシランをテトロヒドロフラン中、カリウムを用いて一電子還元したところ、ビシクロ[1.1.0]テトラシラン-1,3-ジイルラジカルが安定な結晶として得られた。X線結晶構造解析の結果、この化合物は結晶中で溶媒分離イオン対を形成していた。また4員環部分は平面構造であり、三配位ケイ素上置換基のケイ素原子は4員環面内になく、面に対して上下に位置しており、アニオンラジカルの1,3-位間の架橋ケイ素-ケイ素結合が2中心3電子の反転σ結合であることが明らかになった。またEPRを測定した結果、このアニオンラジカルは溶液中で対称性の高い構造を取っていることが示唆された。 また、反転σ結合が共役した化合物を合成する目的で、これまでに合成に成功している反転ケイ素-ケイ素σ結合をもつ1,3-ジシラビシクロ[1.1.0]ブタンの橋頭位置換基の官能基化を検討した。その結果、フッ化物イオンを用いた橋頭位ケイ素上のシリル置換基の脱離、および架橋ケイ素-ケイ素結合への臭素付加を見出した。これらの反応により得られた生成物は、反転σ結合がσ共役した化合物の良い前駆体になると期待される。 また関連して、橋頭位にフェニル基を持っビシクロ[1.1.0]テトラシランを合成単離することに成功した。X線結晶構造解析の結果、橋頭位ケイ素周りは平面構造を取っていた。興味深いことに、このものを加熱すると、これまで報告例のない、メチレンシクロプロパンのケイ素類縁体へ異性化することを見出し、その構造をX線結晶構造解析で明らかにした。
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