2007 Fiscal Year Annual Research Report
4族遷移金属-シリレン錯体の創製とそれを触媒とする新規重合反応の開発
Project/Area Number |
18750026
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中田 憲男 Saitama University, 大学院・理工学研究科, 助教 (50375416)
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Keywords | シリレン錯体 / ゲルミレン錯体 / ハフニウム / ゲルマニウム / ジリチオゲルマン / 二重結合 |
Research Abstract |
前年度においては、ケイ素ジアニオン種であるジリチオシラン(1)を鍵反応剤とし、ハフノセンジクロリドとのカップリング反応、次いで求核剤であるトリメチルホスフィンの添加から初めての安定なSchrock型シリレン錯体(2)の合成・単離に成功し、その分子構造ならびに理論計算からケイ素-ハフニウム二重結合の本質を明らかにした。この成功を基に、今年度ではケイ素と同族の高周期元素であるゲルマニウムの系においてジリチオゲルマン(3)を用いた同様のカップリング反応を検討したところ、対応するゲルミレン錯体(4)を熱的に安定な18電子錯体としての合成・単離に成功した。錯体4は空気や湿気に対し極めて不安定な赤色結晶であるが、Schrock型ゲルミレン錯体としては初めての単離例である。また錯体4の構造は各種NMRスペクトルならびにX線結晶構造解析により決定し、ゲルマニウムーハフニウム間距離は2.6705(5)Åを示し、これまでに報告されている値の中で最も短い値であるとともに、二重結合性を有することが明らかとなった。また錯体4のゲルマニウムーハフニウム間における不飽和結合の性質を解明するため、理論計算による電荷分布を見積もったところ、ゲルマニウム上に陰電荷が、ハフニウム上に陽電荷がそれぞれ極在化しており、Schrock型ゲルミレン錯体の性質を有することが明らかとなった。さらに紫外可視吸収スペクトルおよび分子軌道計算からもゲルマニウムーハフニウム二重結合を示すπ-π*遷移に帰属される吸収が確認された。
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Research Products
(9 results)