2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規な含高周期典型元素拡張π電子共役系化合物の構築
Project/Area Number |
18750030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笹森 貴裕 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (70362390)
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Keywords | 高周期15族元素 / 立体保護 / ジホスフェン / アントラセン / サイクリックボルタンメトリー / π共役 / 酸化還元 / ビスジホスフェン |
Research Abstract |
本研究は、新規な含高周期14族および15族元素拡張π電子系の構築とその物性解明を目的としている。本年度は、昨年度合成に成功したアントリルジホスフェンTbtP=PAnth(Tbt=2,4,6-[CH(SiMe_3)_2]_3-C_6H_2,Anth=9-anthry1)のさらなるπ電子拡張を目的とし、アントラセンの9,10位の両方にP=Pユニットを組み込んだ、9,10-ビス(ジボスフェニル)アントラセンの合成を検討した。その結果、初めての安定な9,10-ビス(ジボスフェニル)アントラセンである(ArP=P)C_<14>H_8(P=Par)(1:Ar=Tbt2:Ar=Bbt,Bbt=2,6-[CH(SiMe_3)_2]_2-4-[C(SiMe_3)_3]-C_6H_2)の合成に成功し、その構造・物性を解明した。特にサイクリックボルタンメトリーにより、1および2の酸化還元挙動を解明した。1および2は、それぞれ-1.80Vおよび-1.79V(vs.Ag/Ag^+)に可逆な二電子酸化還元波を示し、さらに還元側に電位を掃引したところ、それぞれ-3.08Vおよび-3.11Vに非可逆および可逆な還元波が観測された。その結果、アントラセンユニットにより架橋されたビスジホスフェンは、興味深い多段階還元特性を有することが判った。また、1および2のX線結晶構造解析の結果、再結晶溶媒によってアントラセン部位に対して二つのジホスフェン部位がsynまたはantiの配向を取る二種類の結晶が得られるという興味深い現象を見出した。今後、新規物性の発現を目的とし、さらに高周期の元素を含むπ電子拡張共役系の構築を検討する。
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