2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属カルベン及びカルバインを基盤とした新規有機合成反応の開発
Project/Area Number |
18750035
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
神川 憲 Osaka Prefecture University, 理学系研究科, 准教授 (40316021)
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Keywords | 面不斉 / フィッシャー型カルベン錯体 / カルベン交換反応 |
Research Abstract |
これまで面不斉アレーンクロム錯体とFischer型カルベン錯体を併せ持つ光学活性二核α,β-不飽和Fischerカルベン錯体の合成を行い、その両方の金属錯体の特性を複合的に活用した立体選択的な有機合成反応の開発を行ってきた。一方、近年、このような6族の金属カルベン錯体と後周期遷移金属との間でカルベン交換が進行することが報告され注目を集めている。例えば、6族金属カルベン錯体に対して、パラジウムを作用させると、系中でパラジウムカルベン種が生成し、新たな分子変換反応が可能となることが報告された。この報告を契機に、その後、Cu,Ni,Rhでカルベン交換に成功した例が相次いで報告され、それぞれの金属の性質に基づくユニークな有機合成反応が報告されています。今回、我々は面不斉二核α,β-不飽和Fischerカルベン錯体と後周期遷移金属とを組み合わせることで、初めて可能となる立体選択的有機合成反応に展開することを目的として検討を行った。そこで、面不斉二核カルベン錯体とアルキンとの反応を検討した。一般に、α,β-不飽和カルベン錯体とアルキンとの反応を行うと、Dotz反応が進行し、この場合、ビアリールビスクロム錯体が得られることが期待される。これに対して、この反応系に量論量のNi(cod)_2を加えて反応を行ったところ、興味深いことにビアリールクロム錯体とは異なる単一の生成物を得た。X線により構造確認を行い、この錯体は、新たに生成したヘプタトリエンクロム錯体とからなる二核錯体であり、さらに、ベンジル位に中心不斉を、ヘプタトリエン環には面不斉を有する錯体であった。我々は面不斉を有する二核カルベン錯体を用いジアステレオ選択的に生成物を得ており、光学活性体として合成することにも成功した。また,アレーンクロム錯体とヘプタトリエンクロム錯体のそれぞれの面不斉を活用した立体選択的合成反応を行うことにも成功した。
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Research Products
(3 results)