2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750040
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
阪元 洋一 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 助教 (80321602)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 多環芳香族炭化水素 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブは、1991年に多層カーボンナノチューブが、1993年に単層カーボンナノチューブが発見されて以来、そのユニークな構造に基づく電子・光物性や電子輸送特性等の基礎物性に関する理論・実験研究が精力的に行われてきた。本研究では、有機合成的手法によりカーボンナノチューブの部分構造であるチューブ状多環芳香族炭化水素の一般的合成法を確立し、それらの基礎物性を明らかにすることを目標とする。18年度は、パラシクロファンのケトン体を用いる合成ルートを検討した。パラシクロファンのケトン体はp-toluenesulfonylmethyl isocyanide (TosMIC)をカルボニル等価体として用いる方法で合成し、二量体、三量体、四量体、五量体および六量体を得ることができた。次に、二量体、三量体、四量体を用いてbenzilとのアルドール縮合を種々の反応条件で行った。しかしながら、いずれの反応条件においても目的とするシクロペンタジエノン誘導体を得ることができなかった。そこで、チオフェンジオキサイドとベンゼンから構成される環状化合物を用いる合成ルートを検討することにした。現在、環状化合物の前駆体となるチオフェンジオキサイドのハロゲン体とフェニルボロン酸の合成を行っている。今後、Suzukiカップリングにより環状化合物を合成し、これをジフェニルアセチレンとのDiels-Alder反応により環状のフェニレン誘導体へと変換した後、分子内での脱水素化反応により目的とするチューブ状多環芳香族炭化水素を合成し、電子・光物性測定を行う予定である。
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