2007 Fiscal Year Annual Research Report
光駆動型ハイブリッド触媒の開発と環境調和型物質変換反応
Project/Area Number |
18750047
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嶌越 恒 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 助教 (00284539)
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Keywords | ビタミン B12 酵素 / 有機塩素化合物 / 環境適合型 / ハイブリッド触媒 / ラジカル反応 / 光応答 / コバルト錯体 / アルキル錯体 |
Research Abstract |
環境汚染物質である有機塩素化合物(ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)、パークロロエチレン、四塩化炭素、クロロホルムなど)の安全でクリーンかっ高効率な分解・無害化技術の開発を目的とし、天然の脱塩素化酵素(ビタミンB_<12>依存性酵素)と人工のナノマテリアル(酸化チタン・高分子・無機材料など)をハイブリッドさせた、環境浄化触媒を合成した。本触媒の特徴は、光エネルギーを駆動力として活用する点であり、クリーンで省エネルギーなハイブリッド型触媒の開発を目指した。 本研究は、(1)ビタミンB_<12>錯体の合成、(2)ハイブリッド型触媒の開発、(3)有機塩素化合物の分解に大別でき、当初の計画に基づき研究を推進した。その結果、大いに研究は進展し、目標であった各種ハイブリッド型触媒の合成および脱塩素化能評価まで達成することができた。具体的には、酸化チタンと複合させた系では、わずか数mgのハイブリッド触媒にブラックライトを照射するのみで、数百倍モルのDDTを脱塩素化することに成功した。塩素原子は、無害な塩化物イオンとして脱離することも確認できた。さらに本ハイブリッド触媒が有機ラジカル生成能が高いことに着目し、ラジカル型有機合成反応へと応用した。その結果、フェニル官能基転移反応、環拡大反応(6員環〜8員環)、二量化反応など、様々な反応に適用できることが確認できた。これは、有毒なすず化合物を用いた従来の法の代替法として有望である。
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