2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750055
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
柏木 行康 大阪市立工業研究所, 電子材料担当, 研究員 (30416333)
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Keywords | 集積型金属錯体 / スピン機能 / 酸化還元活性 / 電気化学 / 安定ラジカル / トリアリールアミン / ピリジル基 / 亜鉛イオン |
Research Abstract |
平成18年度は、トリアリールアミン系架橋配位子の設計および合成を中心に研究を行った。目的物質としては、対称性が高いトリス(スチルバゾリル)アミン(以下TSzA)およびトリス(4-(4-ピリジル)フェニル)アミン(以下TPyPA)を設計した。これらの配位子はパラジウム触媒を用いたカップリング反応によって合成を検討した。その結果、当初の予定通り配位子の合成を達成した。以下に詳細を述べる。 1.TSzAの合成と光化学特性 トリス(4-ブロモフェニル)アミンと4-ビニルピリジンをパラジウム触媒および有機塩基存在下で還流する溝呂木-ヘック反応により合成した。このとき、触媒、塩基、溶媒の選択が非常に重要であり、最適化した条件ではほぼ定量的に高純度の生成物が沈殿物として得られ、濾過と再結晶のみで容易に精製できることがわかった。得られたTSzAはクロロホルムなどのハロゲン系有機溶媒によく溶け、光化学特性としては406nmに吸収極大を有し、400nmで励起すると488nmに極大を有する発光がみられた。このことからは、金属イオンと錯形成した場合にも発光特性を有する可能性がある。 2.TPyPAの合成 TPyPAは、パラジウム触媒を用いたトリス(4-ブロモフェニル)アミンとピリジンボロン酸エステルとの鈴木-宮浦カップリング反応では目的物質がほとんど得られなかった。生成物のマススペクトルによる検討から、ピリジル基が1つないし2つカップリングした生成物が多く存在していることがわかり、カップリングが十分に進行していないことが明らかとなった。そこで、プロモ基をより反応性の高いヨード基としたトリス(4-ヨードフェニル)アミンを用いて同様の反応を行ったところ、目的物質であるTPyPAを良好な収率で合成することができた。
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