2006 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質層を用いた超高感度表面プラズモン共鳴センサーの開発とDNA検出への応用
Project/Area Number |
18750058
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 央 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10359531)
|
Keywords | レーザー分光分析 / 表面プラズモン共鳴 / バイオセンサー / 陽極酸化アルミナ |
Research Abstract |
表面プラズモン共鳴(SPR)分光法は,金属薄膜表面にセンシングレイヤーを形成し,検体試料の吸着に伴う金属薄膜表面の屈折率変化をSPR角度(反射率が最小となる入射角度)シフトとして観測する手法である(図1)。SPR分光法では無色・無発光の検体試料のセンシングが可能であることから,ラベルフリーのin-situバイオセンシング手法としてポストゲノム研究におけるキーテクノロジーと位置づけられている。しかしながら,DNAや代謝物など生体小分子の吸着に伴うSPR角度シフトは微小であり,従来の蛍光法やラジオアイソトープ方に比べてSPR分光法の感度は低く,SPR応答の高感度化はバイオセンシング開発における最も重要な課題の一つである。 本研究では,「多孔質層をセンシングレイヤーとしたSPR分光法の超高感度化」を目的とし,超高感度化へ向けた多孔質層形成手法の確立とDNAセンシングへの応用を行った。従来のSPR分光法では,金薄膜表面に形成したレセプター分子単分子膜をセンシングレイヤーとし,SPR角度シフトを検出する。SPR分光法の高感度化においてはSPR角度周辺での反射率減少ディップが鋭いこと,SPR角度が低入射角度であることが必要不可欠であり,光学系の最適化により現在では入射波長が800nm程度であり高屈折率プリズムを用いることで高感度化を達成している。一方,光学的に透明な多孔質層を金薄膜上に形成すると鋭い反射率減少ディップが通常のSPR角度より低角度側に現れることを,フレネル式による理論解析の結果見出した。この現象を実証すべく,ガラス基板上にアルミ/多孔質アルミナの積層膜を形成する手法を開発し,自作のSPR測定系で検証した。その結果,計算通りに鋭い反射率減少ディップが出現することを確認し,さらに,センシングへの応用が可能であることを見出した。
|