2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリの感染診断のための呼気中アンモニア分析装置の開発
Project/Area Number |
18750064
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
小谷 明 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (40318184)
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Keywords | 分析化学 / 電気化学 / H.pylori / 尿素呼気試験 / アンモニア / フローインジェクション分析 |
Research Abstract |
H.pyloriの代表的な感染診断法である尿素呼気試験法は、H.pylori由来のウレアーゼにより生成する^<13>CO_2を測定してH.pylori感染を判定する方法である。しかし、^<13>C標識尿素や赤外分光装置を用いるため検査費用が高いといった問題点がある。尿素投与後の呼気中アンモニア濃度とH.pylori感染の相関は認められているが、信頼性に優れた呼気中アンモニア濃度の分析法がなかったため、H.pyloriの感染診断への適応には至っていない。 本研究では、「トコフェロールの電解酸化に基づく弱塩基物質の定量法」を活用し、呼気中アンモニア濃度を測定する小型センサーと自動分析装置を開発し、H.pyloriの感染診断を安価かつ正確に行える手法として確立を試みた。 1.アンモニアのボルタンメトリー アンモニアが共存するトコフェロール溶液の電解酸化時のボルタモグラムには、アンモニアの濃度に比例する特異的なピーク(酸化前置波)が出現した。このピークは、アンモニア濃度0.082〜2.14mMの範囲で相関係数0.998のよい直線性を示した。また、0.5mMのアンモニアに由来する酸化前置波のピーク高さの相対標準偏差(RSD, n=10)は0.8%であり、精度にも優れていることが分かった。以上のことから「トコフェロールの電解酸化に基づく弱塩基物質の定量法」をアンモニアの定量に適用できることを明らかにできた。 2.アンモニアの電気化学検出フローインジェクション分析(FIA-ECD)の開発 多数の検体を迅速かつ自動的に測定する分析装置には、FIAが有用であると考え、トコフェロールの電解酸化を利用したFIA-ECDを開発した。アンモニアのFIAシグナルは、0.012〜0.29mMの範囲で相関係数0.999のよい直線性を示した。呼気中アンモニアを計測できるFIA-ECDの基本を確立することができた。
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