Research Abstract |
SECMは微小な電極をプローブとし,試料表面に接近させて2次元的に走査することによって表面の局所領域における電気化学反応を検出・誘起することが可能なシステムである.これは走査型トンネル顕微鏡(STM)や原子間力顕微鏡(AFM)など,他の走査型プローブ顕微鏡には無い特長であることから,バイオチップや細胞の評価などに用途を拡大しつつある.SECM測定では,主に化学反応に伴うファラデー電流を測定する.そのため,プローブ電極-試料間の変化に起因する影響が大きく,電極-試料間距離を一定に制御することが重要である.申請者は,これまでの研究において,距離制御にshearing forceを利用したSECMシステムを構築している.しかし,電極-試料間距離を一定に制御しても,プローブである電極の微小化に伴う測定電流値の減少により,ナノメートルレベルの解像度を実現することは困難であった.そこで,本研究ではプローブ電極における検出感度を大幅に向上させ,高解像度なイメージングを実現するため,プローブ電極の改良,および新規な走査方法で測定可能なシステムの開発を行った. 1.プローブの作製 引き伸ばしたガラス細管に細線化したPtなどの金属線を挿入し,ガラスを加熱,溶融させる.その後先端を研磨することによってディスク型プローブを作製し,プローブの特性を各種汎用電気化学計測した.また,Pt/Ir, W線などの金属の電解エッチングを行い,先端径1-10nmに極微細線化した円錐型のプローブを作製し,Shearing forceを利用した形状計測により評価した. 2.プローブ電極における電位制御システムの構築 SECMにおいて,走査するプローブで任意の電気化学測定が可能なシステムを構築した.新たに開発したシステムでは,走査するラインを任意の解像度で分割し,各点において電位走査法を中心とした様々な電気化学測定を行うことが可能となった.このシステムを利用することでイメージの高解像度化および高感度化が期待できる.
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