2007 Fiscal Year Annual Research Report
デンドリマーの構造特性を活かした均一系分子触媒の合成と機能開発
Project/Area Number |
18750074
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 哲晶 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (30374698)
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Keywords | デンドリマー / 均一系触媒 / カルベン配位子 / ロジウム / X線構造解析 |
Research Abstract |
本研究課題では,ナノメートルの分子サイズを有するデンドリマー触媒の合成とそれらの触媒機能開発に関する研究を展開してきた.平成19年度は,以下に示す成果を得た.中心部に導入する錯体部位の安定性向上の観点から,柔軟な骨格構造であるポリベンジルエーテル型のデンドリマーを有する2座配位のカルベン配位子を設計し,これらを有するロジウム(III)錯体を合成・単離した.溶液中での構造をNMRを用いて追跡したところ,第2世代デンドリマーが中心部のロジウム近傍を覆うことを示唆する結果を得た.理論計算により最適化した構造は,この実験結果を支持していることが分かった.このような現象は単座のカルベン配位子を有する錯体では観測されず,架橋型に誘導したことにより現れた特徴である.デンドリマー部位が触媒環境中心へ与える影響が,金属まわりの配位構造によって制御できうることを示している.(Dalton Trans.,2007,1567-1569).テトラエチレングリコール(TEG)のようなポリエーテル類は,水溶性の非イオン性界面活性剤として知られている.また,これら分子群は酸素原子の孤立電子対を利用して金属カチオンと錯体を形成し,相関移動触媒として機能することも分かっている.中心金属への直接的な相互作用に加えカチオンの取り込み効果による新たな機能の発現を狙い,TEG鎖を組み込んだカルベン配位子を設計した.柔軟なTEG鎖の比較として長鎖アルキル基を導入した配位子ならびに両者を併せもつ配位子も設計し,それらの前駆体となる一連のイミダゾリウム塩を合成した.触媒反応への応用を検討中である.
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