2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750078
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
相川 光介 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (30401532)
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Keywords | 光学活性分子 / 不斉合成 / 不斉配位子 / ラセミ / 動的キラル / 軸不斉 / キラルジエン / 不斉制御剤 |
Research Abstract |
現代の有機合成化学において、光学活性分子を高効率的に不斉合成しようとするキラルテクノロジーはまさに成熟の域に達している。その中心的役割を担うのが均一系不斉金属錯体であるが、そのほとんどは光学活性な不斉配位子とアキラルな金属錯体によって構築するといった手法がとられている。その結果、不斉触媒反応を指向した不斉金属錯体の開発研究は新規不斉配位子の設計に集中しているのが現状である。そこで本申請研究では、これまで不斉触媒に全く用いられていない安価で入手の容易な動的キラル配位子(ラセミ配位子)を導入し、ラセミ触媒を用いた新たな方法論及び触媒系を見出すことを目的としている。 今回、BIPHEPs-Rh錯体の熱力学的及び速度論的な手法による軸不斉制御を検討した。その結果、速度論的な不斉制御において、不斉活性化剤としてキヤレジェンを用いることで完全に単一のジァステレオマー錯体を得ることに成功した。特にDM-BIPHEPの場合、対アニオンがTfO、BF_4、PF_6、及びC10_4の錯体では完全に副生成物を抑えて、単一のジァステレオマーのみを得ることに成功した。さらに、得られた光学的に純粋なBIPHEPs-Rh/diene錯体を不斉触媒反応に用いた。その結果、1,4-付加反応では高収率且つ高ェナンチオ選択的に生成物を得ることはできなかったものの、不斉水素化反応では最高91%eeと高エナンチオ選択的に反応が進行することを見出した。また、このときBIPHEPsは反応中でラセミ化していないことも証明した。
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