2007 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属クラスターによる原子移動型ラジカル反応制御法の開発
Project/Area Number |
18750080
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大石 理貴 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (20376940)
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Keywords | ラジカル反応 / 遷移金属 / クラスター / 常磁性錯体 / 触媒 / 環化反応 / シクロペンタジエニル / ヒドリド |
Research Abstract |
ペンタメチルシクロペンタジェニル(Cp')基を支持配位子とする1つのルテニウムと2つのタングステンを金属中心に持つヒドリド錯体(Cp'Ru)(Cp'W)_2(μ-H)_7、末端に臭素あるいはヨウ素配位子を持つハロゲン錯体(Cp'Ru)(Cp'WX)_2(μ-H)_3(X=Br,I)、常磁性ヒドリド錯体(Cp'Ru)(Cp'W)_2(μ-H)_4を用い、N-アリルーαーハロアミド誘導体の触媒的ラジカル環化反応を行った。より具体的には、2-8mol%の錯体を用いる環化反応においてアミドα位のハロゲンの種類、アミド窒素上の保護基、α位炭素置換基やアリル置換基の効果を検討した。その結果、反応性は基質にかなり依存することが明らかとなった。用いたルテニウムータングステン系錯体は、αークロロアミド基質にはほとんど反応性を示さず、αーブロモアミドが極めて有効であることがわかった。窒素上の保護基について、これまで検討されてきたトシル基から保護基を持たない基質、アリル基やベンジル基で保護されたものに換えて反応性を比較したところ、いずれも触媒活性は低下したが、用いた錯体に顕著な差が見られ、ヒドリド錯体や含ハロゲン錯体に比較し、常磁性ヒドリド錯体を用いた場合において1.6〜3.5倍の活性が得られた。本常磁性錯体の構造は推定であるが、予備的X線結晶解析より、室温で徐々にクラスター骨格を換え、タングステンから構成される三核骨格の頂点と底辺に2つのルテニウムユニットを持つ構造となることが知られている。常磁性錯体は、温和な条件下、THF中で速やかに臭化tert-ブチルと反応し高収率で(Cp'Ru)(Cp'W)(Cp'WBr)(μ-H)_4とかtertブチルラジカルの分解生成物に相当するイソブテンを与えたことより、現在、開始反応の選択性と効率が鍵であると思われる。
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Research Products
(1 results)