2006 Fiscal Year Annual Research Report
エナンチオ選択的ヒドロアルミニウム化反応の開発とキラル3級アルコールの不斉合成
Project/Area Number |
18750081
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
井川 和宣 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80401529)
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Keywords | 有機化学 / 不斉合成 / ヒドロアルミニウム化反応 / 光学活性3級アルコール / オゾン酸化 / シリルペルオキシ化合物 / キラルポリオール |
Research Abstract |
平成18年度,本研究では申請段階において年度目標としていたエナンチオ選択的ヒドロアルミニウム化反応の開発に成功するとともに,本反応の不斉触媒化も達成した.本反応開発において鍵となったのは水素化リチウムアルミニウムと組み合わせて用いる不斉配位剤の選択であり,適切な構造を有する光学活性γ-アミノアルコールを不斉配位剤として用いることで良好な結果が得られた.すなわち,エナンチオトピックなアルキニル基を有するアキラルな1,1-ビスアルキニルアルコールに対し光学活性γ-アミノアルコールの存在下で水素化リチウムアルミニウムを作用させた結果,ヒドロアルミニウム化反応が不斉非対称化を伴って円滑に進行し,対応するアリルアルコールが光学活性体として得られた(最高光学純度99%ee).また,本反応をトルエンなどの低極性溶媒中で行うことで,添加する光学活性γ-アミノアルコールを触媒量に減じてもエナンチオ選択性が低下することなく高収率で生成物が得られることを見出した.更には,本研究の過程においてビニルシランとオゾンとの反応によって対応するシリルペルオキシ化合物が高収率で得られることを見出した.本反応では,一般的なビニル化合物とオゾンとの反応で生じる炭素-炭素二重結合の酸化的開列が進行しないため,原子効率の高い新規酸化反応として有用と考えられる.また,本オゾン酸化反応とエナンチオ選択的ヒドロアルミニウム化反応と組み合わせて用いることで、生理活性物質や機能性材料もしくはそれらの原料として重要であるキラルポリオール類を効率的に不斉合成する手法を開発することにも成功した.
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