Research Abstract |
1)アルケニルシランの付加型オゾン酸化反応の開発 本研究では, γ位にシリル基が置換したプロパルギルアルコールのヒドロアルミニウム化反応で得られる, γ-シリルアリルアルコールの変換手法を開発する過程で, 付加型で進行する新しいオゾン酸化反応を見出した. すなわち, アルケニルシランにオゾンを作用させると, 炭素-炭素二重結合が開裂すること無く反応が進行して, 対応するα-シリルペルオキシアルデヒドが高収率で得られる. 今回, 本付加型オゾン酸化反応のさらなる利用展開を目指して, シリル基のジェミナル位にアルキル基, アリール基, アシル基が置換したアルケニルシランを基質として用い, そのオゾン酸化反応を検討した結果, いずれの場合にも対応するα-シリルペルオキシケトンが得られ, 本反応の高い基質一般性が明らかとなった. また, 計算化学的手法を用いてその反応経路を解析した結果, 本付加型オゾン酸化反応が中間体として一次オゾニドを生じた後に, シリル基の1, 2-転位を経て進行していることが明らかとなった. 2)キーラルシランを不斉補助基として用いた立体選択的オゾン酸化反応の開発 ごく最近, 本申請者はケイ素原子上に不斉中心を有するキラルシラノールをエナンチオ選択的に合成する手法の開発に成功した(J. Am. Chen. Soc. 2008, 130, 16132), そこで今回, ケイ素原子上の立体化学を利用したジアステレオ選択的な付加型オゾン酸反応化の開発を検討した. すなわち, ケイ素上に不斉中心を有するアルケニルシランを調製して, そのものにオゾンを作用させた. その結果, 対応するシリルペルオキシケトンを中程度のジアステレオ選択的で得た(dr=67/33). 本結果はオゾンを不斉合成反応に活用した初めての例である.
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