2006 Fiscal Year Annual Research Report
生物活性物質合成を指向した環境低負荷型触媒的脱水反応の開拓
Project/Area Number |
18750082
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂倉 彰 名古屋大学, 大学院工学研究科, 講師 (80334043)
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Keywords | 触媒的脱水反応 / アンモニウム塩 / γ-ピロン / 酸化モリブデン / オキサゾリン / 過酸化レニウム / リン酸モノエステル / ハロ環化反応 |
Research Abstract |
高効率的な触媒的脱水縮合反応(脱水環化反応)の開発およびそれを利用した有用生物活性物質の合成研究を行っている。嵩高いジアリールアミンとペンタフルオロベンゼンスルホン酸とのアンモニウム塩は、エステル縮合の触媒として有効であり、穏和な条件下で脱水操作をしなくてもエステルが高収率・高選択的に合成できる。本研究では、アンモニウム塩触媒を用いた1,3,5-トリケトンのγ-ピロンへの脱水環化反応の検討およびアンモニウム塩触媒のX線構造解析を行うことにより、本アンモニウム塩触媒の優れた反応促進効果が触媒活性中心近傍に形成された疎水環境によるものであることを明らかにした。 トレオニン残基の脱水環化によるオキサゾリン合成の触媒として酸化モリブデン(VI)が有効である。本研究では、サリチル酸とトレオニンのアミドの脱水環化において、触媒である酸化モリブデン(VI)に加えて触媒量のペンタフルオロ安息香酸を用いることで、得られるオキサゾリンの収率が飛躍的に向上することを見いだした。今回開発した合成法を利用し、抗腫瘍活性物質BE-70016の全合成を達成し、その絶対立体化学を含む構造を決定した。 リン酸モノエステルはリン酸とアルコールの触媒的脱水縮合によって合成するのがもっとも理想的であるが、その成功例は報告されていない。本研究において、等モル量のリン酸とアルコールの直接的脱水縮合の触媒として過酸化レニウム(VII)が有効であることを見いだした。触媒の安定化剤としてジブチルアミンを20mol%添加することにより、触媒量を1mo1%に減らすことに成功した。本合成法により、様々なアルコールからリン酸モノエステルが選択的かつ定量的に合成できた。
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Research Products
(5 results)