2007 Fiscal Year Annual Research Report
電子不足な新規不斉リン配位子の開発とそれを用いた触媒的不斉反応
Project/Area Number |
18750090
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
是永 敏伸 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 助教 (70335579)
|
Keywords | 不斉触媒 / 金属錯体 / 不斉配位子 / ホスフィン配位子 / フッ素 / 還元的脱離 / 白金錯体 / 電子不足 |
Research Abstract |
不斉金属触媒は、反応場である中心金属とその反応性の制御や不斉環境を構築する不斉配位子から構成されており、不斉配位子の合理的開発が特徴有る新規触媒を生み出す。本申請研究では、不斉配位子として最も有用なリン配位子に着目し、その中でも珍しい「電子不足な」不斉リン配位子の開発とそれを用いた触媒反応の開発を目指した。本年度は、次の2点に焦点を絞り研究を行った。 1 含フッ素新規不斉リン配位子の開発 ビアリールを基本骨格とし、リン上にパーフルオロアリール基(-C_6F_4CF_3)を有する新規不斉ビスホスフィン配位子の合成に成功した。-C_6F_4CF_3基は、これまでアキラルな電子求引性リン配位子に用いられていた-C_6F_5基よりも大きな電子求引効果を示し、新規配位子の触媒反応に対する電子的効果が期待される。さらに、フッ素の数が異なる-C_6F_3H_2基をリン上に有する新規不斉ビスホスフィン配位子も合成し、程度の異なる電子求引能力を有する同種の不斉配位子を得る事ができた。 2 電子不足なリン配位子の金属錯体反応に対する電子的効果の検証 含フッ素リン配位子の金属錯体反応に対する電子的効果に関する基礎的知見を得るため、アキラルな含フッ素ビスホスフィン配位子を有する白金錯体を合成し、ビアリールの還元的脱離反応の速度を求めた。その結果-C_6F_5基を有するビスボスフィン配位子は、典型的なフェニル基を有するビスホスフィン配位子よりも、還元的脱離反応を1000倍以上促進する事がわかった。また分子軌道計算による考察を行い、-C_6F_5基を有するビスホスフィン配位子は白金錯体の特定の空軌道のエネルギーレベルを低下させる事で還元的脱離反応を加速している事を明らかにした。
|
Research Products
(5 results)