2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18750096
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小久保 尚 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助手 (80397091)
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Keywords | イオン液体 / アニオン重合 / 立体選択性 / PMMA |
Research Abstract |
本研究はイオン液体中でMMAのアニオン重合を行い、イオンのみから構成される特殊な媒体中でイオン重合がどのように進行するのかを理解することを目的としている。 イオン液体として1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロリン酸を、開始剤にジフェニルヘキシルリチウムを用いて、MMAのアニオン重合を行った。本研究で用いたイオン液体はPMMA、メタノールに可溶であるので、反応終了後はメタノールに反応溶液を再沈殿することでPMMAを得た。 得られたPMMAの立体選択性は、全ての条件下でもmm率が高い結果となった。一般的に誘電率の高い有機溶媒中で同様の重合を行うと、rr率が高いPMMAが得られるのにも関わらず、有機溶媒よりも著しく誘電率の高いイオン液体を用いた本系では、低誘電率有機溶媒中の反応と同様の傾向であった。これは、イオン液体の陽イオン種がPMMAの重合末端と特殊な溶媒和をしているためであると考えられる。 また、転化率の経時変化を調べた結果、(1)有機溶媒中の反応と比較して、本系は緩やかに反応が進行している、(2)収率が低いのにも関わらず転化率は90%以上であった。これらの原因を解明するために、NMR測定によって反応溶液の解析を行った。その結果、開始剤や反応末端はイオン液体を構成する陽イオンを攻撃していることが明らかとなった。しかし、開始剤が陽イオンを攻撃しても、陽イオンがアニオン重合開始能を有しており、アニオン重合反応が進行するという興味深い現象を見出した。
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