2006 Fiscal Year Annual Research Report
動的らせん高分子からなる剛直主鎖型コレステリック液晶の開発と応用
Project/Area Number |
18750097
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前田 勝浩 名古屋大学, 高等研究院, 特任講師 (90303669)
|
Keywords | 液晶 / らせん高分子 / 不斉増幅 / 水中 / 光学活性 / キラル / らせん構造 / 誘起円二色性 |
Research Abstract |
申請者らは、側鎖にジイソプロピルアミノメチル基を有するポリフェニルアセチレンの塩酸塩(poly-1-HCl)が水溶液条件下で剛直主鎖型液晶を形成し、極少量の光学活性な酸の添加により液晶相はネマチック液晶からコレステリック液晶へと変化し、液晶状態では、希薄溶液中よりも感度よく光学活性な酸のキラリティー検出が可能であることを見い出している。本研究では、この現象の一般性を確かめることを目指し、以下に示す結果を得た。 1.申請者らは、光学不活性なポリ(4-カルボキシフェニルイソシアニド)のナトリウム塩(poly-1-Na)に光学活性アミン存在下、水中で一方向巻きに片寄ったらせん構造が誘起され、さらに記憶として保持可能であることを見い出しているが、分子量の低いpoly-1-Naは濃厚水溶液中で液晶を示さなかった。また、従来の合成法では数平均分子量(M_n)が数万程度の比較的低分子量のポリマーしか得られていない。そこで、高分子量体の合成を目指し、触媒としてパラジウムあるいはニッケルの金属錯体を用いて、溶媒、反応温度、重合時間等の反応条件を様々に変えて(4-エトキシカルボニル)フェニルイソシアニドの重合を行ない、分子量および収率におよぼす効果について検討を行なった。その結果、塩化ニッケル六水和物を触媒としてテトラヒドロフランとメタノール混合溶媒中(9/1,v/v)で重合を行なったところ、M_n=2.1×10^5の高分子量のポリマーが定量的に得られることを見い出した。また、側鎖のエステル基を加水分解して水溶性のpoly-1-Naへと変換し、光学活性アミン存在下、水中でらせんの誘起を行ったところ、これまで用いてきた比較的低分子量のポリマーと同程度の誘起円二色性(CD)を示した。得られた高分子量のpoly-1-Naの濃厚水溶液を偏光顕微鏡で観察したところ、明確な複屈折性を示し、コレステリック液晶に特徴的な縞状組織を示すことを見出した。 2.Poly-1-HClが濃厚水溶液中で剛直主鎖型液晶を形成する特徴を最大限に利用して、濃厚液晶水溶液からずり配向フィルムを作製し、その固体フィルムのX線回折を行い、poly-1-HClのらせん構造の決定を行った。その結果、poly-1-HClのらせん構造が23残基で10回転する23/10らせん構造であると結論付けられ、これまで明らかでなかったポリフェニルアセチレンのらせん構造を初めて決定することに成功した。
|
Research Products
(2 results)