2007 Fiscal Year Annual Research Report
動的らせん高分子からなる剛直主鎖型コレステリック液晶の開発と応用
Project/Area Number |
18750097
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前田 勝浩 Nagoya University, 高等研究院, 特任講師 (90303669)
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Keywords | 液晶 / らせん高分子 / 不斉増幅 / 水中 / 光学活性 / キラル / らせん構造 / 誘起円二色性 |
Research Abstract |
申請者らは、側鎖にジイソプロピルアミノメチル基を有するポリフェニルアセチレン(poly-1)の塩酸塩が濃厚水溶液条件下で剛直主鎖型液晶を形成し、極少量の光学活性な酸の添加により液晶相はネマチック液晶からコレステリック液晶へと変化し、液晶状態では、希薄溶液中よりも感度よく光学活性な酸のキラリティー検出が可能であることを見い出している。本研究では、この現象の一般性を確かめることを目指し、様々な官能基を有するポリフェニルアセチレンやポリイソシアニドなどについて、水中でのコレステリック液晶形成と不斉増幅現象が起こるかどうかについて調べた。その結果、本年度は以下に示す結果を得た。 1.光学活性体の添加により一方向巻きのらせん構造を誘起したホスホン酸エステル残基を有するポリフェニルアセチレン誘導体や、らせん構造を記憶として保持したカルボキシル基を有するポリフェニルイソシアニドのナトリウム塩が濃厚水溶液中でコレステリック液晶に特徴的な縞状組織を示すことを見い出した。 2.水だけでなく、難燃性、再利用が可能、液体温度範囲が広いなどの理由から、近年、環境調和型の溶媒として注目されているイオン性液体中でも同様のコレステリック液晶を形成するかどうかについても検討を行った。その結果、一方向巻きのらせん構造を記憶として保持したポリフェニルイソシアニド誘導体が、高濃度条件下、イオン性液体中で、複屈折性を示し、コレステリック液晶に特徴的な縞状組織を示すことを見い出した。 3.Poly-1が、水中で光学活性な酸存在下、水に可溶となり、一方向巻きに片寄ったらせん構造の形成に由来する誘起CDを示すことを見い出した。低温では光学活性な酸のキラリティーに非常に感度良く応答し、0.005%の酸の鏡像体過剰率もCDにより検知可能であった。誘起CDは濃度および温度依存性を示し、AFMや光散乱測定より高温、高濃度では会合体を形成している可能性が高いことが示唆された。さらに、誘起CDの温度応答性を利用して、構造の異なる鏡像異性の光学活性な酸存在下、温度によるCD符号の反転を起こすことを見い出した。
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Research Products
(6 results)